明治時代にお雇い外国人として日本に来たモースという人が書いた "Japan day by day" という本がある。
日本語訳は「日本その日その日」。
なぜこんな訳を充てたのか、私の頭では到底理解できない。
ウケ狙いとしか思えない訳だ。「日本での日々」とかに出来なかったのだろうか。
歴史上の書籍タイトルで好きなのは、個人的には江戸時代に大蔵永常が書いた「農具便利論」である。
「農具便利論」というタイトルは一周回って天才と言わざるを得ない。
「農具は便利である」ということを示すために「農具便利論」などという安直なタイトルを思いつくだろうか。そしてそれを史に刻むとは、いやはや江戸とは恐ろしき時代である。
去年、包丁で手首を切り裂いた。
床に血溜まりができ5本腱が断裂して大変なことになった。
あれからちょうど1年が経ったらしい。
なんだろうか、去年の夏はなんだったんだろうか。
路上で死ぬほど酒を飲んで吐き散らかし、仕事もなく毎日劣等感にまみれただ生きてた。
家族には毎日酒をやめろと言われ、医者にも言われ、毎日アル中扱いをされ、ずっと避けてた自傷行為までしてしまった。
でもその怪我によって休めることに安心していた部分もあったと思う。
それからは毎日窓際の座椅子に座りながら一日中ELLEGARDENの曲を聴き炭酸水をストローで啜っていた。
俺はELLEGARDENというバンドがめちゃくちゃ好きだ。
当たり前だけど曲がめちゃくちゃ好きだからめちゃくちゃ好きだ。
曲というのは、記憶と結びつく。
ある曲を聴くとそれをよく聴いていた頃の風景だったり感情だったりがそのまま蘇ってくるということは誰でもあると思う。
去年の夏に初めてELLEGARDENのライブを観れたこともあって、大好きな曲たちなので気分が沈んでいる間中ずっと聴いていた。
そして今年も同じように同じ曲を聴いている。
だけど去年とは違う、
去年は元気になる曲だったのが、
今年は鬱を思い出す曲になっていた。
よく聴いていた曲、The Autumn Song(真夏なのにね)、窓際の明るさと鏡を見なくてもわかる死んだ目、啜る力もなく腹の上に置かれた炭酸水のペットボトル、あと極め付けに英詞の曲聴かないのにこの曲を気に入ってくれた元カノを思い出してしまうね。
しかもELLEGARDENの曲ってしんどいことに英詞の曲大体歌詞が暗いんだよ。日本語曲はあんな前向きなのにね。余計に思い出させる。
なんか仕事中にStereoman聴いてたら涙出てきた。
あれから1年、俺は実家も出たし就職もしたし精神状態もまあ俺の中ではかなり良い方。
何もできることなんてないし給料はクソ低いけどIT企業に就職できてスーツ着ないで良くて都会に出社してんだからまあ良いのかもね。良くなったのかもね。周りの同世代と比べたらカスみたいな生活だがまあ結局俺の辿り着くべきところはここだったのかもしれない。
ちょうど1年前かー、と思って書き始めてみたけどまとめ方がわからなくなってしまった。
夏マジで嫌いだけど今年の夏は安定して良い季節だったとして終われますように。