SUPER BEAVERの『証明』を聴いています。
あえて聴いています。
理由は、「証明」とは何かがわからなくなったからです。
最近就活をしています。一人の力では難しかったので、エージェントに相談しました。そしたら支援プログラム的なのがあるらしく、それに参加することになりました。
参加には証明写真が必要で、これは免許証を作る時とかマイナンバーカードを作る時とかに必要な証明写真とはどうやら違うみたいです。
前髪をピシっと上げて少しニヤついて、キリッとした顔でスーツを着なければならないそうです。
そういうものがあるということは知っていました。そして、どうせ撮るなら、やるとこまでやってやろうと思いました。ぼくは今結構髪が長いんですよ。
だいたいこれくらいです。目がうつろとか顔面怪我してるとかそのへんは一旦置いといてください。
で、だいたい今髪型も写真みたいな感じなんですよ普段。前髪上げることは滅多に無いです。
大きく髪型変えたことないので、会ったことある人はだいたいこんな感じのイメージだと思います。だから求められた写真っていうのは普段のぼくとはかけ離れてるんですね。でも、そういう写真じゃないとダメだと言われたので仕方なく撮りに行きました。
前髪をあげて、左右のボリュームを落として、見えないように耳に髪をかけて、普段アイロンで巻いてる髪はストレートのままにして、襟足は見えないようにゴムで結んで。信みたいにね。黒髪なのは今たまたま黒な気分だから就職のためとかではないです。ちなみにだけど今回の髪染め、めっちゃ色持ちが良くて嬉しい。
とても悲しくなってきて。俺がどんどん俺じゃなくなっていくんだ。俺という人を知ってもらうための面接のために、俺は全ての俺を殺すんだよ。ということはさ、つまり「俺」はいらないってことだろ?
「俺」という「俺」はさ、社会的に「要らない」ということなんだよ。だって普段の俺を全て殺した俺を求められているんだから。
家にいた弟には見て大爆笑された。
本当に悲しくて、辛くて、悔しくて、ドン底まで心が沈んで、証明写真機まで行ったよ。撮ったよ。
どうかな?
これはさ、俺かな?違うよ。名前が俺と同じなだけの誰かだよ。すごく悲しくて、辛くて、撮り終わった瞬間に髪の毛全部崩して、泣きながらトイレ行って吐いた。
友達と電話しながら路上でぶっ潰れるまで飲んで、泣き叫んで、徒歩3分の最寄りコンビニから家までの間で知らん人2人に介抱されるレベルまで潰れてて、車道の真ん中で寝てて、俺の大事なAirPods Proはなくした。
そこまでしないと保てなかった。本当に辛くて。自分が自分であることがこんなに大事だなんて思ってなかった。
エージェントの人は喜んでくれた。そりゃそうだよね。だって俺アンタの言う通りにしたもん。
データダウンロードだけにしたから、証明写真機から出てくるのはダウンロードコードと、小さい写真のアイコンだけなんだよ。
これ。
これをね、家に置いておいたんだよ。そしたら母に「どれが証明写真なの?」って言われて、母は機械とか苦手だからダウンロードのみの証明写真があることを知らないんだと思って教えてあげたのね。でも一応こうやって小さいアイコンだけど印刷されたやつがあるから、「それだよ」って教えてあげた。母は「どれ?」と言った。「だからそれだって」「え?」「そこにあんじゃん、写真小さいの」「え、どれ?写真ないよ」「いやだからこれだって」
指差して教えてあげた。そしたら、「え!?これあんた!?!?ただの見本かと思ったわ!」って言われた。
昨日、朝から酒飲んでて、人生に刺激が欲しくて、5年くらいまともに会ってないし連絡ももちろん取ってない俺の精神の根本をこんなんまでめちゃくちゃにした最悪の父に突然電話した。今から飲み行こって。今は無理だけど仕事後なら行けるって言われたから行ってきた。その感想はまあどうでもいいんだけど、最近就活しててこの間写真撮ったんだよと言ってこの証明写真を見せた。
「え!?!?wwwwwwwこれお前!?!?!?!?wwwwwwwwwwww」
って言われた。
あのさあ、俺が撮ったのは「証明」写真だよね。「これが私です」って、証明する写真なんだよね。
それをさ、両親が両親とも誰かわからない写真に何の意味があるの?
何も証明されてないよね。親だよ。一番俺の顔を見てきた親が2人揃って誰かわからないと言ってるんだよ。俺はそれを「正しい証明写真」として、これから仕事を探しにいくんだよ。
俺は何を証明したの?
なんか企業広告に使われてそうな面白写真も撮れたから上げとく。